本ケース・スタディは、HBS在学中に竹内弘高教授の指導の下、共同執筆したものです。実際の授業の題材としても使われました。
ここでは、執筆の背景について紹介します。
私が在学していた頃(2011~13年)、HBSはImmersion Experience Program(IXP)という海外でのフィールドワーク型の授業を提供していました。その名の通り、フィールドワークの対象となる国のビジネス環境にImmerseする(どっぷり浸かる)のが目的。対象国に2週間程滞在し、現場のビジネスについて実践的に学びます。当時は日本を対象としたJapan IXPに加え、中国、ペルーなどを対象としたIXPがありました。内容については、現地企業から実際のプロジェクトを請け負うといった実務的なものから、対象国のフィールドワークを経てケース・スタディを教授と共同執筆し、出版するといったものまで、幅広く提供されていました。私が参加した「Japan IXP」は後者でした。
Japan IXPは、2012年に誕生。コースの設立趣旨は、2011年の東日本大震災における多様な関係者の危機対応(Response)を学び、ケース・スタディという形にして世に広める、といったものでした。それに鑑み、竹内教授の指導の下、HBS生たちがフィールドワークを重ね、複数のケース・スタディを執筆しました。対象となった企業は、ファーストリテイリング、石巻港湾病院(現石巻健育会病院)、ローソン、ヤマト運輸。形式としては、「The Great East Japan Earthquake(東日本大震災)」の危機対応についてのケース・スタディ・シリーズとして出版され、バージョン(A)が全体の概要、各企業のケースがそれぞれバージョン(B)~(E)として個別に出版されました。
私は、その翌年の2013年に参加。日本人在校生6人が、各5人のチームをリードする形で、HBS生総勢30名が参加しました。現地における震災への対応が、初期の危機対応から復興(Recovery)に移行している状況を受け、テーマをResponseからRecoveryにシフトし、フィールドワークを実施。対象となった企業は、グーグル、ヤフー・ジャパン、オイシックス、ユニクロ、祐ホームクリニック、オーガッツ。私のチームが担当したのは、ヤフー・ジャパンさんでした。これらのケースは、1年目のシリーズの続編という形で、(F)~(K)として個別に出版されています。
ここでは、執筆の背景について紹介します。
私が在学していた頃(2011~13年)、HBSはImmersion Experience Program(IXP)という海外でのフィールドワーク型の授業を提供していました。その名の通り、フィールドワークの対象となる国のビジネス環境にImmerseする(どっぷり浸かる)のが目的。対象国に2週間程滞在し、現場のビジネスについて実践的に学びます。当時は日本を対象としたJapan IXPに加え、中国、ペルーなどを対象としたIXPがありました。内容については、現地企業から実際のプロジェクトを請け負うといった実務的なものから、対象国のフィールドワークを経てケース・スタディを教授と共同執筆し、出版するといったものまで、幅広く提供されていました。私が参加した「Japan IXP」は後者でした。
Japan IXPは、2012年に誕生。コースの設立趣旨は、2011年の東日本大震災における多様な関係者の危機対応(Response)を学び、ケース・スタディという形にして世に広める、といったものでした。それに鑑み、竹内教授の指導の下、HBS生たちがフィールドワークを重ね、複数のケース・スタディを執筆しました。対象となった企業は、ファーストリテイリング、石巻港湾病院(現石巻健育会病院)、ローソン、ヤマト運輸。形式としては、「The Great East Japan Earthquake(東日本大震災)」の危機対応についてのケース・スタディ・シリーズとして出版され、バージョン(A)が全体の概要、各企業のケースがそれぞれバージョン(B)~(E)として個別に出版されました。
私は、その翌年の2013年に参加。日本人在校生6人が、各5人のチームをリードする形で、HBS生総勢30名が参加しました。現地における震災への対応が、初期の危機対応から復興(Recovery)に移行している状況を受け、テーマをResponseからRecoveryにシフトし、フィールドワークを実施。対象となった企業は、グーグル、ヤフー・ジャパン、オイシックス、ユニクロ、祐ホームクリニック、オーガッツ。私のチームが担当したのは、ヤフー・ジャパンさんでした。これらのケースは、1年目のシリーズの続編という形で、(F)~(K)として個別に出版されています。
ケースの題材となった「石巻復興ベース」(現ヤフー石巻ベース)
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「東北は先進国の未来の姿を先取りしている」
これが、HBSが「東北に学ぶ」大きな理由です。過疎化・少子高齢化・地方創生・起業の促進・リーダーの育成。こういった、全ての先進国が今後直面すると見られる課題について、いち早くチャレンジし、持続的なビジネスモデルを創出することができれば、世界にインパクトを与えることができます。
そういった側面にまさにフォーカスしたのが、ヤフー・ジャパンさんのケースでした。同社は、東北の拠点としていち早く「石巻復興ベース」(現ヤフー石巻ベース)を設立。復興を通じて世界に通じる新しいビジネスモデルを創出するというのが、ベースに課されたミッションでした。
竹内教授が授業にて常に強調するのが、「場」の重要性です。石巻復興ベースは、まさに地元の起業家たちが新しいビジネスを創出する上で欠かせない、集う「場」と化していきました。そこから産まれた商品やサービスは、ヤフー・ジャパンさんのサイト上で運営される「復興デパート」(現東北エールマーケット)を通じて日本中に届けられています。
IXPのケースの題材となった企業とそのリーダーたちは、何れも東北という現場で、当時、そして、未来の課題について果敢に挑戦していました。それを現場にて肌で感じることで、IXPに参加した全員が大きな刺激を得ました。
これが、HBSが「東北に学ぶ」大きな理由です。過疎化・少子高齢化・地方創生・起業の促進・リーダーの育成。こういった、全ての先進国が今後直面すると見られる課題について、いち早くチャレンジし、持続的なビジネスモデルを創出することができれば、世界にインパクトを与えることができます。
そういった側面にまさにフォーカスしたのが、ヤフー・ジャパンさんのケースでした。同社は、東北の拠点としていち早く「石巻復興ベース」(現ヤフー石巻ベース)を設立。復興を通じて世界に通じる新しいビジネスモデルを創出するというのが、ベースに課されたミッションでした。
竹内教授が授業にて常に強調するのが、「場」の重要性です。石巻復興ベースは、まさに地元の起業家たちが新しいビジネスを創出する上で欠かせない、集う「場」と化していきました。そこから産まれた商品やサービスは、ヤフー・ジャパンさんのサイト上で運営される「復興デパート」(現東北エールマーケット)を通じて日本中に届けられています。
IXPのケースの題材となった企業とそのリーダーたちは、何れも東北という現場で、当時、そして、未来の課題について果敢に挑戦していました。それを現場にて肌で感じることで、IXPに参加した全員が大きな刺激を得ました。
ケースに関するフィールドワーク以外にも、様々な形で現地にImmerseしました。体を使ったボランティア活動、住民の皆さんとの対話、現場のリーダーたちとの復興に関するブレストなど。訪れた場所は、女川、石巻、陸前高田、大船渡、福島と多岐に亘り、それぞれの場所で大きな刺激を得ました。
HBSはよくTransformational Experience(人生観を変える経験)と言われます。私にとって、HBSはまさにそのような経験でした。そして、Japan IXPという授業による学び、そして、ケース・スタディの共同執筆といった体験は、まさにそのハイライトの一つでした。
HBSはよくTransformational Experience(人生観を変える経験)と言われます。私にとって、HBSはまさにそのような経験でした。そして、Japan IXPという授業による学び、そして、ケース・スタディの共同執筆といった体験は、まさにそのハイライトの一つでした。
なお、IXPはその後も毎年開催されています。2016年からは名称をIFC (Immersive Field Course)に変更し、形式も少しずつ変わってきていますが、根本的な趣旨や理念はそのまま引き継がれています。
そして、IXP創設から5年が経った2016年。HBS・日本リサーチ・センターにてIXPを立ち上げからリードしてきた山崎繭加さんが、IXPのこれまでの軌跡を書籍として出版されました。
本書では、IXP創設期のResponse、私たちが参加した頃のResponse to Recovery、そしてその後の本格的なSocial Entrepreneurshipの学びの場としての東北について、非常に分かり易く書かれています。私も前者二つのステージしか体感できていなかったので、その後の進化が勉強になるとともに、読んでいて嬉しくなりました。間違いなくお勧めです(ちなみに、私も少しですが文中に登場します。探してみてください)。